よなは竜太郎 ブログ

好奇心だけで人生を愉しんでいるような道産子東京在住の気が付けば30代も後半です。

東京人のとんかつ好き

東京に来てから、散歩中によくとんかつ専門店を目にするようになった。

もっとも私が初めて住み着いたのは“とんかつ激戦区”として知られる高田馬場だったので、なおのことその印象が強いのかもしれない。

その高田馬場を例にとってみると、成蔵、ひなた、とん太・・・と思いつくまま挙げてもなかなかの軒数があって、そのどれもが行列をなす人気店なのだから驚く。札幌にもとんかつ専門店はないことはなかったが、百貨店やロードサイドに建つチェーン系が多かったように思う。かつての職場である狸小路にはすみだ川という個人でやっている古い店もあったが、別段、混むということもなかった。(つい先日、店を畳んでしまったと聞いた)

高田馬場に限らず、東京の街を歩けばとんかつ専門店はよく目にするので、やはりとんかつ好きが多いのだなと思う。

あるいは、とんかつを外食時に食べるという文化が発達しているのかもしれない。私もとんかつは好きだが、家で食べるものという印象のほうが強い。実家にいた頃は母が作ってくれる揚げ物レパートリーのひとつに過ぎなかったし、一人暮らしを始めてからは揚げ物は作らないのでスーパーの総菜として買うことが多かった。習慣として店で食べるということがなかったのである。

そんな私もつい先日、とんかつ専門店の暖簾をくぐる機会があった。

いま住んでいる南長崎におさむという店があって、居酒屋の飲み仲間がしきりに薦めるので行ってみた次第である。土曜を選らんだのが悪かったようで、大行列にはまってしまい、たかだかとんかつを食べるのに一時間以上も待ち時間を要してしまったのだが、結論として、待った甲斐のある体験だった。とんかつなんて家で食べるのも店で食べるのも大差ないと思い込んでいたのだが、とんでもない。あの軽やかな食感と舌上でほどけるような脂の味わいは揚げたてならではのもので、店主の微妙な匙加減(揚げ加減)もあって、それはもう絶品だった。

とんかつ好きな人の多い東京だけあって、一家言ある人も少なくない。揚げ加減だけでなく、やれどの銘柄豚であるとか、揚げ油の種類はなんだの、パン粉がどうした、キャベツの刻み方がこうした・・・と、突き詰めるときりがないようだ。

食べ歩きと言うとせいぜいラーメンくらいのものだったが、東京では「とんかつの食べ歩き」というジャンルもそれなりの市民権を得て成立しているようなのである。